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退院後の通院検査へ

(後腹膜腫瘍）　　手術から退院まで

13:00頃から麻酔の準備が始まり、気が付いたら手術が終わっていました。 部屋に戻ってきたのは19:30頃だそうです。 自分の感覚では、さっき眠って、直ぐ起きたといった感覚で、何時間も手術していたとは全く意識できません。 気が付くと同時に腹部の猛烈な痛みで、当たり構わず叫んでしまいました。

家内と息子が覗き込んでいる顔が見えました。 息子が心配そうにいろいろ話しかけてくれましたが痛さで真剣に聞く気になれませんでした。それでも家族が心配してくれているというのは嬉しいことでした。後で聞くと息子も会社を早退して来てくれたとのことでした。

この後が難行苦行で、翌日の昼まで頭を一切上げてはいけなく、切ったところは痛いし、同じ姿勢なので腰のあたりがどうしようもなく痛く、横にはなって良いのですがそれをするとお腹に力が入って傷口が痛むといったことで、ナースコールを呼びまくって、さっきまっすぐになったと思ったら、また横になるといったことを繰り返して、ひたすら夜が明けるのを待ちました。 頭を上げずにじっとしていることは本当につらいです。超音波穿刺で組織を採取した時にもこのつらさは味わいましたが、今回は傷口が痛いので、さらにつらさがひどいです。

顔は酸素マスク、鼻から食道を通って胃までチューブ、お腹のチューブ、胸のチューブ、尿のチューブ、抗生物質や水補給の点滴といったことで身体にチューブがいろいろついて、全く発狂しそうな状態でやっと12日の最初の先生の回診時間がやってきました（午前10時過ぎ）。 一睡もできなかったような感じです。

40年前に腹膜炎の手術をしましたが、この時の方が術後は楽だったように思います。 若かったからでしょうか。 この時はお腹に5本もチューブが入り放しで、これを手ぬぐいで作った雑巾で覆って膿を出していましたが、これは現在ではプラスチック製の器具でうまく吸い出せるようになっています。 こんな便利さより、術後の苦しさを解決してくれというのが患者の切実な気持ちです。

今日は私の満59歳の誕生日ですが、とんでもない誕生日となりました。

最初の回診で腹部消毒等が終わると、待望のベッド上は自由の許可が出て、起き上がることができました。この嬉しさは手術した人だけが知る特別のものと思います。生き返った気持ちになるとはこのことです。 この時、酸素マスクがとれこれも1つ楽になりました。

手術開腹部の傷口を初めて見ました。縦に10�p、横に15ｃｍの傷跡です。最近はホッチキスのようなもので縫い合わせています。

昼頃、主治医が来て、看護婦さん付き添いで歩いてよろしい（むしろ、腸等の動きをよくするために歩け）といわれ、丁度家内も来てくれたので、そろそろと病棟内を歩きました。いろいろ付属品を付けて歩くのは大変です。 夕方姉もお見舞いにきてくれ、歩行訓練を見てもらいました。

一日中傷口がしくしく痛みなんとも憂鬱。 お見舞いにもらった癒し系のCDをかけて、思いっきりボリュームを上げて聞いたらその瞬間は少し痛みを忘れました。 夕方飲水の許可も出てそろりと水を飲みました。 夜が来るのを待ちかねて、10時に痛み止めと、安定剤をもらってこれで楽になれると思って就寝。 朝4時過ぎに眼が覚めるまでぐっすり眠れました。

眼が覚めるとなんと痛みがないではないですか。 これは良いと喜んで起きたところ、やはり痛み出し、昨日と同じように一日中憂鬱でした。

自力で歩いて新聞を買いに行きましたが、未だそんなに一杯読む気にはならず、テレビ番組を探して気分が紛れる番組を見ました。 今日は消毒時、鼻から胃に入っていたチューブがとれました。 朝から食事も始まり、 朝：おもゆ 、昼：三分粥 。夜：５分粥 と徐々にご飯らしくなっていきます。

就寝前に痛み止めと安定剤をもらって就寝。 この病棟はナースステーションに近く、手術直後の人が入るようですが、夕方急患の人が入ってきて、大騒ぎでした。朝になってみるとその人は集中治療室に移っていました。　

昨日の朝は目覚めたら随分快復した実感があったので、今日も朝まで寝ている間の快復を期待していましたが、少しずつ快復に向かっているようです。 今日は傷口消毒時、尿排出用の管がとれました。これからは自力で排尿です。 この結果、 胸の水排出チューブ 、腹の術後ドレーン排出チューブ、 腕の点滴（抗生物質と水補給） が現在身体についていますが、だいぶ楽になりました。

食事は 朝：全粥 、昼：一般食（ごはん） となり通常に戻りました。

最高66kgまで異常に増加していた体重も60ｋｇに戻り、顔と足のむくみもとれてきました。

家内と息子には手術した日に切除した腎臓とその外側の腫瘍の現物を見せて説明してくれたそうですが、腫瘍は腎臓を取り巻いている膜の中だけで納まっていたようで一応安心です。このことだけでも早期発見で良かったというべきなのでしょう。 今後この組織検査をしたり、お腹には水が2リットルほどたまっていたとのことですが、この水の検査等から、完全にガン細胞が切除できたことが分かったら治療終了とのことです。未だ残っていたら、例えば放射線治療等がさらにあることになります が、その可能性はほとんどないと思っています。

腎臓が左側一つになったのに、尿が快調に出ます。 つまり快調に機能しているということなので、良いことなのでしょう。

尿を出す管が昨日取れてホッとしました。 ところがそれからが大変です。 点滴をしているのですが、それが始まると途端にトイレに行きたくなります。 尿を管で出していた時はいわば自動排出だったのですが、今度は1時間おきくらいに点滴台を引きずってトイレに行く状態で、お陰で昨晩はトイレのために熟睡できませんでした。 折角痛み止めと安定剤をもらっても、トイレのために何度も起きるので傷は痛むし、眠れないしです。 腎臓機能回復のためもあるため、点滴といっても生理食塩水で、点滴すると直ぐに出てしまうものですが、それに加えて身体をむくませていた水もでています。 昨日の収支は、点滴で2リットル、口から飲んだ水が1リットルの合計3リットル。 尿がなんと5リットル（15回もトイレにいきました）。差し引き2リットル体から水が抜けたことになります。

今日15日は点滴量が半分に減りました。 胸の管も閉じました。これで胸の写真等に問題が出なければ、胸の管もいよいよなくなります。 先生が血液中の蛋白も増えてきたといってくれました。 体重も発病前の６０ｋｇに戻り、顔も元の顔に戻ってきました。

これで治れば、健康診断を受けたお陰で早期発見ができ、ガンが右腎臓に止まっている内に手術ができてよかったと考えるべきなのでしょう。 健康診断を受けていなかったら、もっと我慢したり、適当な病院に行って時間を無駄にしたかもしれません。 ということで、先ずは順調に回復の方向に向かっています。

尿　　4.5リットル 、体重　　57kg 、便通順調 です。

嬉しいことに、6月15日から胸に入っていた管を外してくれました。 夜には最後の点滴が終わり、点滴の管も外れました。 尿の方は相変わらずで、約1時間に1回、夜も安定剤をもらって寝たものの、おしっこがしたくて1時間おきに眼が覚めて熟睡できません。

尿　　4.5リットル、体重　　55kg

体重は健康時 60ｋｇだったのが、むくみの自覚症状が現れた時が 65kg、最高66kgまでなりましたが、なんと55kgまで減少してむくみがなくなりました。まさに水ぶくれしていたのです。 今日撮った胸のレントゲンの写真も見せてくれましたが、きれいに水が引いていました。

今日は、手術後お腹に入っていたドレーンを抜く管も外してくれました。 これで身体に入っていた管は全てなくなり、すっきりしました。 まさに万歳といったところなのですが、寝不足と傷跡のしくしくした痛みで、嬉しさの割には身体の調子はいまいちです。 昨晩もきっかり1時間ごとにおしっこで眼が覚めてしまいました。 隣の患者さんは、暇があれば直ぐいびき、これも病気なのでしょうが羨ましい。 一方一日中個室で痛い、痛いと叫んでいる人の声も聞こえ、これに較べれば幸せ一杯です。 身寄りのない人を何人も今回は同室で見ましたが、寂しさや大変さを身近で見て、家族や兄弟姉妹の有り難さが身にしみます。

以上のようなことで、順調に快復しています。 組織検査の結果が出ないと本当の結論にはならないのですが、今のところ先生の読み通りの快復で、医者も「やった」という感じで、医者自身も喜んでいます。

今日は半分抜糸しました。抜糸といっても最近はホッチキスのようなもので止めているので、それを１個ずつ取るということです。チクチクとしましたが、とった物を見ると、まさにホッチキスでした。

残っていたホッチキスみたいな留め金を全て取りました。

眼科検診を受けました。ほんの少し網膜のむくみがあるそうですが、順調に快復しているとのことでした。

ラジオアイソトープによる全身骨の検査、胸のCT検査 も行いました。

ラジオアイソトープの検査は前の病院でも一度しましたが、午前に注射をして撮影し、午後にまた撮影します。ガン細胞だとラジオアイソトープがその組織内にとどまるのですが、正常細胞だととどまらないので、午後の検査でラジオアイソトープが検出されなければ、がん細胞が無いことになります。

私の腫瘍は肺や骨に転移しやすいので、そこへの転移を調べる検査です。

兄弟姉妹や甥等大勢で見舞いにきてくれました。

身寄りの無い人の悲惨な入院状況を身近に体験し、肉親の有り難さを思います。 今日から傷口を覆っていたガーゼが無くなり、毎日のガーゼ交換が無くなりました。ガーゼが無くなったので、お見舞いにきていただいた皆さんに、傷口を公開でき ました。

未だ夜寝る時は痛み止めの座薬をもらっていますが、睡眠が浅いのが今の悩みで、寝起きがすっきりしません。 身体を動かさないのでしょうがないのかもしれませんが、隣のベッドからは心地よい「いびき」が聞こえてきて羨ましいです。 昨日は初めて夢を見て、夢の中で叫んだことが寝言となり、丁度看護婦さんの巡回の時間で看護婦さんがびっくりして覗いて行きました。 明け方にももう一度自分の寝言で眼が覚め、昨晩は同室の人はなんと思ったかチョッと気になります。

病院の売店には、健康に関する本、雑誌がいろいろ置いてあります。 健康に関する本が欲しい時は、大病院の売店に行くのも一つの手段ということを知りました。

ラジオアイソトープによる全身骨の検査、胸のCT検査の結果はいずれも肉腫の転移を示すデータはなく、一安心しました。 胸のチューブが入っていた部分を閉じた後の抜糸も今日終わり、これで当面入院です ることは全て終わりました。 ということで、何時退院しても良いということになったのですが、歩くときお腹がシクシク痛み、未だ病人ですので、土曜日まではいて、7月27日（大安）に退院することとしました。 後は外来で組織検査の結果を聞くことになります。

毎朝起きたとき体重を測っていますが、今日は５４．７ｋｇ、昨日も同じですが、3日前は５５．１ｋｇだったので、５５ｋｇ付近がキープできるかも関心時です。

時間ができてインターネットで「後腹膜腫瘍」を調べると、内容によっては大変悲観的なことも書いてあったりして、再発したりすると大変だなと思ったりしますが、当面快復したことを幸せに思って、また健康体で頑張りたいと思います。

腎臓が一つになるとむしろ水をたくさん飲んで、身体の新陳代謝を良くした方が良いそうで、一日１．５リットルを目標に水を飲んでいます。腎臓が一つだと尿路結石等になりやすいのだそうです。